よなおしギターを生んだ二人の会話
A「ギター教室をやってるんだけど、挫折する人が多くて悩んでるんだよね。もっと簡単に演奏できる弦楽器ってないのかな?」B「それは君の教え方が悪いよ」
A「ごめんなさい…」
B「まぁそれは置いといて…『簡単に弾ける』という弦楽器はイロイロあるみたいだね。でもその多くは、簡単にするために弦の数を減らすという方向で考えてしまっている場合が多い。実は、弦の数を減らすと逆に演奏は難しくなると思うよ」
A「えっそうなの?弦が少なければ簡単になると思ってた」
B「例えば1本の弦で曲のメロディを弾くことを考えてみると…音の高さを変えるために弦を押さえる手は、音が変わるたびに動かさなければならないのでとても忙しい。しかも必ず両手を使わないと曲が弾けない。まぁ、弦を弾(はじ)くのは1本だから簡単だけどね」
A「なるほど」
B「さらに、音の高さを変える仕組みがギターのように半音ずつのフレットを使うなら、例えばシンプルな『きらきら星』を演奏するにも押さえる場所の選択肢は9つあって、その中から適切な場所を選ばなければならない」
A「弦が減ると押さえる場所の選択肢は逆に増えるのか!」
B「そう、だから『きらきら星』のメロディなら1本弦より開放が使えるギターやウクレレの方が押さえる指を主に考えると簡単に弾ける。弦を押さえるという作業は結構大変だからね」
A「なるほど、じゃあメロディを簡単に弾くには開放をより多く使えると良いのかな?」
B「シンプルな曲に限定すれば『ドレミファソラシド』とチューニングされた8本の弦の楽器が最も簡単にメロディが弾ける。つまり、開放でメジャースケールが弾ける弦楽器だね。これなら『きらきら星』は弦を押さえずにメロディに合った弦を弾(はじ)くだけで片手で弾けるからね」
A「じゃあコードはどうだろう?コードの演奏も弦の数が関係あるよね?」
B「もちろん1本弦ではコードは弾けないね。コードを弾くなら最低3本の弦が必要だけど、それもメロディを弾く時と同じように弦が少なければそれだけたくさん弦を押さえなければならないし、押さえ方も複雑になってしまう。コードを簡単に弾くには最低4本の弦が必要だと思う。もちろんチューニングの方法にもよるけど」
A「なるほど!だからウクレレはコード伴奏が簡単なのか!」
B「そう。ウクレレは、全くの初心者でも簡単な曲なら1時間もあればコード伴奏が出来るね。ただし、ウクレレはメロディを弾くのが少し難しい。これはハイGの場合に音階が分かり難いこともあるし、開放が4つだけなので、どうしても押さえる選択肢が多くなってしまうから」
A「じゃあギターはどうなのかな?6本弦はメロディを弾くにもコードを弾くにもバランスが良さそう」
B「それがギターがここまで発展した要因の1つではあると思う」
A「じゃあ何でギターは挫折する人が多いの?」
B「それにはもちろん色々な理由があるけど、今回の話の流れで言えばメロディは意外と簡単だけどコードを押さえるのが大変だからだと言える」
A「Fの壁ってやつか!」
B「例えばピアノでFコードを弾く時ってFACの3つの音を出せばよいので、他のコード(例えばCコード)を弾くのと難易度は変わらないんだよね」
A「じゃあ何でギターでは難しいの?」
B「これは、余分な音も鳴らしてるからってことに尽きるよ」
A「余分な音?」
B「そう、本来FコードはFACの3音が1つずつ鳴っていれば問題ないんだけど、みんなが挫折するFコードは、Fの音が3つ、Cの音が2つ鳴っている」
A「えっ?じゃあ3つの音だけにしたらもっと簡単になるの?」
B「そう。単純にFACの3つの音だけを鳴らすならCコードとほぼ同じ難易度で弾くことができるよ」
A「え~じゃあ何のために苦労してFを押さえるの?」
B「特にストロークで弾く時には6本の弦を全部押さえて鳴らした方が綺麗で迫力ある演奏が出来るし、Fが押さえられればその形は他のコードにも応用できるからね」
A「なるほど、がっつりストロークするには6本の弦を全部押さえた方が良いのか」
B「あとは、Fコードがギターの登竜門みたいになってて…『これが出来なきゃギターが弾けるとは言えない!』みたいな」
A「なるほど、難しいFじゃなきゃ邪道みたいな感じかな」
B「そう、だから特に最初の頃はその拘りは無い方がいいんだけどね…初心者ほどFコードをちゃんと鳴らせないとダメだと思いこんじゃう傾向はあるね」
A「じゃあ、やっぱりコードを簡単に弾くための弦の本数は4本がベスト?」
B「もしダイアトニックコードだけで良いなら、もっとも簡単にコードを弾けるのはメロディの時と同じで『ドレミファソラシド』でチューニングした8本弦かな」
A「えっ?メロディの時と同じ?」
B「そう、当然メロディとコードは密接に関わっているからね。8本弦なら『きらきら星』はメロディもコードも弦を押さえずに片手で弾けるよ」
A「じゃあ8本弦の楽器を作れば誰でも簡単にメロディもコードも演奏できるね!」
B「実はそう簡単ではないんだよね」
A「えっ?なんで?」
B「1つには、弦が8本あるとその中から決まった1本を選ぶのに混乱しちゃうことがある」
A「そうか!どの弦だっけ?って迷う」
B「そうそう。個人差はあるけど、4本弦までは混乱がほぼ無いのに6本になると急に迷う人が出てくる。これが8本になったらかなり混乱して、演奏が難しくなることが考えられる」
A「そっか~選択肢が8は多いのか~」
B「そしてもう1つは、実際に今8本弦の楽器が普及してないので、もし作るとなると1から制作しなきゃならないから大変でしょ?」
A「なるほど、せっかく簡単に弾けても簡単に作れなきゃ意味がないか…」
B「そして、仮に8弦の楽器が出来てそれに慣れたとして、今度は逆にその楽器から次に発展する楽器が無いということになるからね」
A「そっか、初心者用の楽器は、誰でも直ぐに楽器を楽しめるのと同時に次の本格的な演奏や楽器につなげる橋渡し的な役割も担った方がいいのか!」
B「もちろん橋渡し的な役割が無くてもいいんだけどね。でも初心者用の楽器からスタートして『もっと難しい演奏に挑戦したい!』とハマる人は必ず出てくるから」
A「じゃあやっぱり、メロディもコードも簡単に弾ける弦楽器って将来性も考えると不可能なのかな…」
B「実は、1つだけ可能性がある」
A「えっ!?なになに?」
B「弦を8本にすると簡単になる理由は、メジャースケールという世界的によく使われる音階がドレミファソラシという7つの音で出来ていて、それに高い主音のドを加えると8になるからだよね?」
A「そういうことになるね」
B「もし、5つの音で出来ていて、しかもとてもよく使われる音階があるとしたら?」
A「そっか!その5つの音に高い主音を加えて…6になる!ギターと同じだ!」
B「でしょ。それなら今のギターに少し手を加えるだけで作れるし、その楽器に慣れた後スムーズにギターへ移行することもできる。つまり橋渡し役だね」
A「でも、5つの音で出来ていて、しかもよく使われる音階ってあるの?」
B「5つの音で出来た音階は世界にたくさんあるよ。日本では明治以降、童謡や唱歌でとってもよく使われている音階があるんだ」
A「童謡や唱歌?それなら老若男女多くの日本人が知ってるし、初心者用の楽器で弾く曲としては打ってつけだね!どんな音階なの?」
B「ヨナ抜き音階。その構成音は『ドレミソラ』」
A「ヨナ抜き音階!それを6本の弦で鳴らせるようにすればいいんだね!」
B「そう。ドレミソラに高いドを加えて、6本の弦をドレミソラドにチューニングすればいいんだ」
アイディアを生み出す思考法
実は、上記のAとBの会話は私の頭の中で行われたんです。つまり、AもBも私自身です。
アイディアを生み出すための思考法にはいろいろありますが、特に複雑なアイディアを出したい時、私はこうして頭の中で2人に会話をさせることが多いんです。
2人にはちゃんと役割があります。
1人は相手を質問攻めにする人。ここではA
もう1人はAの質問に冷静に答える人。ここではB
頭の中でこの2人を会話させることで、徐々にアイディアが方向性を持ち磨かれ具体的になっていきます。
よなおしギターのアイディアも、こうした2人の会話によって生まれました。
もちろん、上記のように明確な会話口調で考えている訳ではありませんが、確実に頭の中で2つの思考が交錯しています。
そして、この2人のやり取りは、よなおしギターが生まれて8年経つ現在でも繰り返され、よなおしギターを発展させ続けています。
何かアイディアを出したい時、頭の中の2人に会話を楽しんでもらうのも良いかもしれませんね。
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【注目記事】よなおしギターのことが分かる3つの記事!
1、まずは、弾いてみよう!~どんなに簡単な楽器か動画で確認!~
2、よなおしギターの特徴~簡単に弾ける秘密はこれ!~
3、よなおしギターの楽譜~楽譜が読めなくても簡単に弾ける!~
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