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移動ドの徹底を阻むもの

以前、旧ブログの固定ドと移動ドの違いについての記事で『そろそろ日本はC一族からの呪縛を解く(固定ド教育から脱却する)必要があるように思います』と書いたことがあります。

その記事は2018年に書いたもので、思いがけず多くの人に読んでいただいていると同時に、音楽教育を専門にされている方から一定の評価を頂けました。これは非常に嬉しいことです。

【固定ドと移動ドに関しての旧ブログ記事⇒】『固定ド』と『移動ド』の違いについて~日本のピアノ学習の失敗~


ただ実は…そんな偉そうな記事を書いておきながら、私自身「固定ドから完全に脱却できているか?」と問われたら、「No」と答えるしかありません。

その理由は、日本における固定ド教育の根強さギターにおける度数の重要性が関係しています。


日本における固定ド教育の根強さ

年齢性別問わず、これまで接してきた教室の生徒さんは全て『固定ドが当たり前になっている』と言っても過言ではありません。

つまり『ドはハ長調の始まりの音である』という固定概念です。

そうすると、レッスンで理論を教える時などにハ長調の中で解説する分にはよいのですが、これが例えばト長調の解説になると始まりの音を「ソ」と言わないと通じなくなる訳です。

もちろん、音楽を教えている以上「ト長調であっても始まりの音はドです」と根本的な理屈から教え、生徒さんの固定概念を覆さなければいけないのは十分に分かっているんです。

ただ…これは言い訳になってしまいますが、私の教室はギター教室です。最大の目的は生徒さんにギターを楽しんでもらうことであり、しかもそれを限られた時間の中で行わなければなりません。

つまり、どうしても『移動ドの徹底』が疎かになってしまう場面が出てきてしまうんですね。

『これは間違っている』って頭の中では分かっているのに、「KeyGのメジャースケールは『ソラシドレミファ#ソ』となります」とやっちゃうわけです。

これはホントに反省すべき点ではあるのだけど、生徒さんの固定概念を覆すには相当の労力が必要で果たしてギターの楽しさを教える前にそこが達成できるのかも分かりません。

これは私の講師としての技量不足もありますが、それほど日本の固定ド教育の根強さが凄まじいという事でもあるんですね。

更に、私のギター教室において移動ドの徹底が十分に出来ていない理由としてもう1つ、ギターにおいての度数の重要性が挙げられます。


ギターにおいての度数の重要性

先ほどご紹介した旧ブログの記事を書くよりも前、私は『度数譜』という楽譜を考え出しその仕組みを記事にして書いています。

【度数の指板配列を楽しく覚えられる!新しい楽譜⇒】ギター専用楽譜『度数譜』


度数譜とは、簡単にいうと度数で書かれた楽譜です。例えば『キラキラ星』を度数譜にするとこんな感じです

テキスト075『キラキラ星』


で、ギターにおいて度数は非常に重要であり、度数を理解することはギターの理屈を理解することに直結します。

実際には『ギターの指板上の度数配列を理解すること』が特に大切であり、それを曲を弾きながら楽しく出来るのが度数譜という訳です。

同じように数字で表す楽譜として、大正琴やハーモニカで用いられる『数字譜』というものは以前からありますが、それと度数譜は表記の仕方に違いがあります。最も重要な違いは、短調(マイナーキイ)での表し方です。

それぞれの楽譜で短調の音階(マイナースケール)を表すと以下のようになります。

数字譜と度数譜のマイナースケール


ご覧のように、数字譜でのマイナースケールは『6』から始まるのに対し、度数譜では『1』から始まります。

これはギターの特性として、スケールでもコードでも、調(メジャーかマイナー)の違いに関係なく始めの音を『1』と考えた方が分かりやすいからなんですね。

ちなみに、移動ド(階名)でマイナースケールを表す場合は、数字譜と同じように6に該当する『ラ』から始まります。

これは、曲においてより『調』を重視するのかより『メロディ』を重視するのかの違いとも言えるかもしれません。

調をより重視するギターでは、どんな調であっても始まりの音を『1』とし、メジャーとマイナーの違いは『3』なのか『♭3』なのかで判断するというやり方が都合が良いのです。

実際にギターを演奏する時には、『1』を何の音にするかを決め、その1に対しての『3』を♭させるかさせないかで調(あるいはコード)に合った音を出していくわけです。

このギターにとって重要な『度数』の概念を、私の教室ではギターに初めて触った状態の生徒さんでもかなり初期の段階で教えています。

つまり、「メジャースケールの始まりの音はどのキイでもドです」という移動ドの概念を教えるよりも先に「スケールの始まりの音は全てのキイで1です」と教えてしまうんですね。


本来の音楽教育とは?

音楽を仕事や趣味でやろうと思っている人以外でも、『移動ド』は必要な概念です。それにより音楽の本当の楽しさを知ることが出来るからです。

逆に言えば、もし日本において学校やピアノ教室での音楽教育が移動ドで徹底して行われれば、音楽を仕事や趣味にしたいと考える子供たちが増える可能性は高いです。

そしてその移動ドをマスターし楽しむための重要な手段が、楽器に触る前の『移動ド唱法』です。

移動ド唱法とは、簡単に言えば曲を歌詞ではなく階名で歌う方法です。

これにより、様々な曲のメロディの共通点や、階名による音の役割、メロディの構造など分かることがたくさんあり、それはすなわち音楽を理解し楽しむことでもあります。

やはり、楽器演奏も含め音楽の基本は歌うことだと思います。

ただ、先ほどから言い訳しているように、私の教室では固定ドが当たり前の大人の生徒さんが相手であり、さらにギターでは度数が最重要であるという観点から、必要と分かっている移動ド唱法もレッスン中にやることはありません。

このことは、レッスンで移動ドを徹底できていないことに加え、私の中でとても罪悪感として存在しているんですね。

そこで私なりにその解決策として、ある意味無理やりですが…

度数で歌う方法を考えてみました。音楽を理解し楽しむための移動ド的な唱法とギターにとって重要な度数の組み合わせです。

つまり

度数唱法!


橋本式度数唱法

度数を歌うと考えた時に一番ネックになるのが言葉の音数です。

例えば、『キラキラ星』を歌詞・移動ド唱法・度数の3つの方法で歌った場合、以下のようになります。

キラキラ星を各唱法で歌う


歌詞と移動ド唱法では1音につき1文字しか発声しないので楽ですが、度数で歌うと1音につき2文字も発声しないとならない音(いち、さん、よん、ろく、なな)があるので非常に歌い難いですね。

キラキラ星のようなシンプルな曲ならまだ良いのですが、もっと複雑な曲になったら途端に呂律が回らなくなりそうです。

そこで、全ての度数を1文字で発声できるようにしたのが下の図です。これが度数唱法の基本のメジャースケールとなります。

度数唱法(メジャースケール)


これなら発声も楽で日本人ならすぐに覚えられると思います。

さらに、音に#や♭が付く場合が出てきますね、その場合は以下のように発声します。

度数唱法(12音)


この仕組み分かりますか?

実は、基本のメジャースケール『い・ふ・み・よ・ご・ろ・な』のそれぞれの五十音順での前後の音なんです。

例えば、2度の『ふ』が♭したら五十音順で『ふ』の1つ前の『ひ』となり、#したら1つ後ろの『へ』となる訳です。

これなら覚えやすいかな?と思いました。

で、ギターで特にコード理論を勉強する時、2の#と3の♭は同じ音(同音)ではあるけど明らかに役割が違う場合が多々出てきます。

つまり、音は同じなのに度数では違う表記の仕方をするわけです。

これは非常に重要な考え方なので、当然度数唱法でもその区別ができるように、基本のメジャースケール『い・ふ・み・よ・ご・ろ・な』の全ての音にそれぞれ#と♭が付いた場合の音を割り当てました。


度数唱法の効果は?

ハッキリ言って、実際に度数唱法がどれほどギターの理解に効果があるのか分かりません。何せ、私自身も思いついたばかりでそのアイディアを忘れないようにと記事を書いている状態です。

私の考えでは、度数唱法をマスターすればギターを理解し演奏者の思うままにメロディもコードも弾けるようになる!と思っています。

ただ、これをあらゆるメロディでスラスラと歌えるようになるには、かなりの練習が必要でしょう。更にそれをギターの指板上で再現できるようにする必要があると考えると…

多分、私には出来ません(;^_^A

いずれにしても、音楽においての移動ドと移動ド唱法の大切さ、それとギターにおいての度数の大切さはこれから広く知られる必要があるのだけは間違いありません。



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