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前回の記事で長々と述べさせて頂いたように、よなおしギターのチューニングは『単なる変則チューニングではなく、構造そのものが違う』と私は思っています。

【こちらもお読みください】ギターのチューニングを考える~批判と拒絶理由に対する回答~


それでも大雑把に見れば、よなおしギターが『6本の弦が張られたギターと同じ形の楽器』であるのは間違いありません。

つまり、いくら私が御託を並べても「ただギターのチューニングを変えただけの楽器」という批判は、今後もずっと私を悩ませ続けるのだろうと、ある程度は覚悟しています。

ただその悩みも、特許庁の審査官から『拒絶理由』が送られてきた時の悩みに比べれば、ほんの微々たるものです。


拒絶理由が送られてくる理由

特許は、出願をしただけでは取得はできません。

出願後『審査請求』を提出することで、初めて審査官により審査が行われます。

審査請求された出願を担当の審査官が審査し、『これは新しい技術だ!』と認めたもののみ特許として認定されるというわけです。

ただ、ほとんどの場合『審査請求』をした後、前回の記事でも出てきました『拒絶理由』という通知が送られてきます。

『拒絶理由』とは、簡単に言えば『この発明は特許として認められません』という通知ですが、その特許として認められないと判断される理由には、大きく2つの基準があるようです。

1つ目は、『この技術は新しくないですよ』というもの。

つまり、以前誰かが同じような発明をしているので、特許としては認められないという理由。

2つ目は、『この技術は専門知識のある人なら誰でも思い付きますよ』というもの。

出願したものに関して専門的な知識のある人が、既存の文献(資料)を参考にすれば、あなたでなくても容易に思い付くので特許として認められないという理由。

1つ目は『新規性』、2つ目は『進歩性』といい、どちらも特許の判断基準として重要かつ根本的なものになります。


拒絶理由への対応

上記のような『拒絶理由』を受け取った後は、審査官の判断に不服があれば『補正書』『意見書』を作成し、もう一度審査官による判断を仰ぐことになります。

つまり『拒絶理由』の通知が送られてきても、諦めずに頑張って『補正書』や『意見書』を作成し審査官を納得させなければ、特許は取得できないというわけです。

私は、知的財産権のスペシャリストである弁理士さんの助けを借りることなく作業を進めていた為、『拒絶理由』に対応するだけの知識も心の準備もないままその通知を受け取りました。

その時の落ち込み方は半端ではなかったです。

『自分のアイディアでは絶対に特許は取れない!夢破れた!!』

そんな思いで、『拒絶理由』が届いたあと丸1ヶ月間はショックで何もできませんでした


よなおしギターに対する拒絶理由

私の発明に対する主な『拒絶理由』は、『進歩性』に関わることでした。

どちらかと言えば『新規性』の方が分かり易いんす。

「その技術は新しいものではありませんよ」と言われれば、なるほど、すでに同じことを考えた人がいるんだな~と納得できます。

ただ、「進歩性が無い」、つまり「この技術は専門家なら既存の文献(資料)を参考にすれば誰でも思い付きますよ」と言われても、始めは全くピンときませんでした。

その『拒絶理由』に対して、どう補正し、どう意見すれば審査官を説得できるのかが、皆目分からなかったんです。

そしてもう1つ私を悩ませたのが、審査官が「既存の文献(資料)を参考にすれば...」として引用した文献(引用文献)です。


拒絶理由の引用文献

私が受け取った『拒絶理由』には2つの資料が引用文献として記載されていたのですが...

その2つの引用文献がともに英文だったんです。

引用文献の1つは、前回ご説明した『チューニングに関する資料』で、アメリカのギターリストが書いてインターネット上に公開した論文です。

そしてもう1つの引用文献が『フレットの構造に関する資料』で、こちらもアメリカの特許でした。


よなおしギターのフレット構造

よなおしギターのフレットは『曲が演奏できる最もシンプルな構造』になっています。

チューニングの方法同様、よなおしギターのフレット構造を見て「ただフレットを抜いて減らしただけだ!」という批判のような意見もありました。

また、よなおしギターの構造に対する質問で一番多いのは、「なぜフレットを抜いたんですか?」というフレットの構造に関することです。

確かに、一見するとその構造は『フレットを抜いて減らした』ように見えますね。一般的なアコースティックギターのフレットの数は約20本で、よなおしギターは5本ですから、15本ほどフレットを抜いたと考えられるわけです。

ただ、私が最初に考えたよなおしギターは『フレットが1本も無い構造』だったんです。


よなおしギターのフレット変容

私は当初、『1オクターブ以内のヨナ抜き音階で作られた曲が弾ければ十分』だと思っていました。

つまり、フレットは1本も必要ないと。

その発想からまず試作品を作ってみました。すると、その試作品では確かに1オクターブ以内のヨナ抜き音階で作られた曲は簡単に演奏できました。

ただ・・・

弾いている内に次第と物足りなさを感じるようになるんです。

以前の記事でもご説明したように、フレットが無いと演奏できる曲が30曲程度に限られてしまいます。

【片手で弾ける曲目はこちら⇒】よなおしギターで片手で弾ける曲~練習不要でギターが簡単に弾ける!~


これでは確かに、物足りない感じがします。

そこで、もう少し演奏できる曲を増やすためには、『ヨナ抜き音階に加え<ファ>と<シ>を出せるようにした方が良い』と考え、その為に必要な最小限のフレットを付けたんです。

それが、第一フレットと第二フレットです。

これで、片手だけで約30曲が弾ける上に、少し練習すると、童謡・唱歌だけでも約60曲の演奏が可能となりました。

フレットを2つ付けたことにより、レパートリーが倍になったわけです。ただ...

この構造でも次第に物足りなくなっていきます。

『もっといろいろな曲を弾けるようにしたい!』

この欲求がよなおしギターを進化させました。

以後、音域が1オクターブ以上のヨナ抜き音階を弾くために、オクターブフレットを増設。

さらに、1オクターブ上の<ファ>と<シ>を弾けるようにするために、オクターブ第一フレットと第二フレットを増設。

こうして、今のよなおしギターのフレット構造、つまり...

『3つの種類(第一フレット・第二フレット・オクターブフレット)のみ5本のフレットが付いた弦楽器』

が出来上がったわけです。


フレットは加えられた!

よなおしギターのフレット構造が完成するまで、私は上記のような手順を踏んでいきましたので、「なぜフレットを抜いたんですか?」とご質問されてもあまりピンときません。

なぜなら・・・

私自身は、フレットを抜いた、あるいは、減らしたという認識はなく、1本も無い状態から『必要なフレットだけを加えていった』という認識だからなんです。

こうやって順を追って説明していくと、恐らく既存のギターリストの方たちも「なるほど~」と納得し、「確かにこれは、考え方自体が一般的なギターとは異なる」と、思ってくださるでしょう。

ただ、私が特許を出願した時に特許庁に提出した書類には、そこまでフレットの構造について詳しく記載しませんでした。

当然、フレットの構造の成り立ちが分からない特許庁の審査官は、フレットの構造の形状だけを見て新規性あるいは進歩性があるかの判断をしていったわけです。


実施の引用文献とキーワード

『拒絶理由』の通知の中で審査官は、よなおしギターと似たようなフレットの構造が記載されているアメリカの特許を引用し、以下のような拒絶の理由を示しました。

「でも、この文献(特許)を参考にすれば同じような構造は知識のある人なら思い付きますよね?だから進歩性は認められませんよ」

ここに、その時に引用されたアメリカの特許が見られるページのリンクを張ります。興味のある方はご覧ください、もちろん全て英文です。

米国特許第5025696号『Partially fretted fingerboard』

この引用された文献(特許)の内容を理解し、審査官が『拒絶理由』とした理由を考え、それに対しての『補正書』や『意見書』を60日以内に作成し提出しなければならなかったわけです。

あっ、その内の30日間は放心状態だったので、実質期限は30日間。英語の知識がほぼ中学で止まっている私には、相当にきつい仕事でした。

ただ、今は無料の翻訳ソフトがたくさんあるので助かりました。

それらの翻訳ソフトを片っ端から使って直訳日本語と英文を比べながら何回も何回も読み返し、何とか、その中から反論の突破口となるキーワードを見付けることができたんです。

それが『Fig.2(図2)』と『elevated region.25(上昇領域25)』という言葉でした。

ここでは詳しい説明は省略します。恐らく、文章での説明には限界があると思うので、機会があればセミナーなどを設けて、特許取得に特化したお話しができたらいいな~と思っております。

【ご興味のある方はマンツーマンでお話させて頂きます】『1DAYマンツーマン特別講座』~集中レッスン、教室運営アドバイス、特許の取り方など~


よなおしギターは開発か?

よなおしギターの技術は、前回のチューニング方法、そして今回のフレット構造の2点を合わせることによって特許を取得することができました

恐らく、チューニングをヨナ抜き音階にするというアイディアだけでは、特許の取得は不可能だったでしょう。

あるいは、フレットの構造だけを見れば、同じような技術は特許庁の審査官が指摘したように既にその考え方が存在しています。

ただし...

『チューニングがヨナ抜き音階であり、かつ、フレットが3つの種類のみしかないギター』

という技術は、世界によなおしギターだけしか存在しないんです。

そういった構造をしているからこそ、『幼児から90歳を超える人まで3分あれば誰でも曲が演奏でき、かつ、一般的なギターに引けを取らないような伴奏や奥の深い演奏もできるギター』が完成したんです。

そして最も重要なのは、この非常に有意義な技術を、ヨナ抜き音階が誕生し文部省唱歌が作られ始めてから100年以上もの間、だれも実用化しなかったという事実です。

これを『開発』と言わずに何と言うのでしょうか?


よなおしギターを批判される方たちへ

今後も、よなおしギターに対する批判はたくさん出てくると思います。それは覚悟の上ですが、その上で、批判をしてくる方には以下のようにお話ししようと思っています。

どんなに完成された技術だと思っていても、観察や思考や工夫や改良をトコトン重ねることで、さらに新しい技術を生み出すことが必ず出来ます。

「どうですか、新しい技術の開発に挑戦してみませんか?」


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【注目記事】
よなおしギターのことが分かる3つの記事!

1、まずは、弾いてみよう!~どんなに簡単な楽器か動画で確認!~
2、よなおしギターの特徴~簡単に弾ける秘密はこれ!~
3、よなおしギターの楽譜~楽譜が読めなくても簡単に弾ける!~



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※営業時間は10時~20時になります。

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